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【地震保険】地震で自宅が損壊してしまったとき、地震保険だけでは建て直しができない?!

火災保険

寺田 裕太郎

筆者 寺田 裕太郎

不動産キャリア14年



地震保険ではお金が足りなくて家を建て直せない?


地震多発国の日本において、いざというときの備えとなる地震保険の役割は重要です。
しかし、地震保険には少し気をつけなければならないポイントがあります。
地震保険ではお金が足りなくて自宅を建て直せないという話を聞いたことはありませんか?
具体的にはどういうことなのでしょうか。

それではまず、火災保険、地震保険について、その内容を確認してみましょう。


火災保険・地震保険とは?


「火災保険」
火災や水災などの災害によって建物が被害を受けた際に、その損傷を直したり建て替えたりすための費用を賄うための保険

「地震保険」
地震そのものと地震由来による火災や津波などにより建物が被害を受けた際に、その損傷を直すしたり建て替えたりするための費用を賄うための保険

それぞれの保険の内容を簡潔に表すとこのようになります。
ちなみに、地震保険は単体で加入することはできません。
必ず、火災保険に加入した上で、それに付帯して加入することとなります。


地震保険の気を付けるべきポイントは?


火災保険と地震保険は、対応する災害が異なるだけで、同じような保険だと感じるかもしれません。
しかし、一点、大きな違いがあります。
それは、掛けられる保険の金額です。

火災保険は、保険を掛ける建物の評価額に対し、最大100%まで保険を掛けることが可能です。
一方で、地震保険は、最大50%までしか保険を掛けることができないという制限があります。
※正確には、火災保険(主契約)の保険金額の50%まで

これは、具体的にいうと、火災で建物が焼失した場合は、保険金を使って従前の建物と同規模(同コスト)の建物を建て直すことができるのに対し、地震で建物が倒壊や半壊した場合は、保険金だけでは従前の建物と同規模(同コスト)の建物を建て直すことが難しいということです。
※ここでは建築コストの変化や諸経費は考慮していません。

保険金だけでは賄えないということは、手元の自己資金を出すか、または新たに住宅ローンを組まなければならなくなります。

ちなみに、災害被害に遭ってしまった建物を住宅ローンを借りて購入(建築)していた場合、そのローンはどうなるのでしょうか。
仮に建物が焼失や倒壊してしまっていても、住宅ローンはそのまま残ってしまいます。

新たな住宅を保険金で建て直すことができればまだしも、新たにローンを組む必要もありながら、既存のローンの返済も続けなければならないとなると、中々の負担になってしまいます。

地震保険に加入する際は、このことについてよく理解しておく必要があるでしょう。


対策方法は?


①火災保険に特約を付ける

地震保険自体は、法律でその仕組みが定められているため、どこの保険会社経由で加入しても、建物評価額の最大50%までしか保険を掛けることはできません。

一方で、主契約となる火災保険の内容は、保険会社によって異なり、特に特約は保険会社によって様々な種類があります。

その中で、地震保険に関する特約を用意している保険会社がありますので、そのような保険会社にて、火災保険および地震保険に加入するというのが、オーソドックスな対策方法です。

例えば、多くの保険会社では、地震を原因とする火災によって建物が被害を受けた際は、保険金を一定の割合で割り増しする特約を用意しています。
また、地震を原因とする建物被害であれば、基本的にどのようなケースでも、火災保険と同様、建物評価額の最大100%まで補償する特約を用意する保険会社もあります。

②地震保険類似商品に追加で加入する

SBIいきいき少額短期保険株式会社が提供する地震補償の保険は、通常の地震保険とは異なる設計の商品のため、火災保険の加入の有無にかかわらず、単独加入することができる保険です。
通常の地震保険に加入した上で、別途加入し、いざというときの補償を手厚くすることも可能です。

③住宅ローンに自然災害特約を付ける

まず、住宅ローンに付帯できる自然災害特約とは、地震やその他災害発生によって、住宅ローンを借りて購入した自宅に一定規模の被害が発生した際に、一定条件でローン返済が免除されるというものになります。

細かく見てみると、大きく2種類のタイプがあります。
金融機関によって呼び方は変わりますが、「返済保障型」と呼ばれるタイプと、「残高保障型」と呼ばれるタイプがあります。

「返済保障型」
豪雨・落雷などの様々な災害により建物が全壊・大規模半壊・半壊した場合に、その程度に応じて、毎月の返済額が規定回数免除(払い戻し)される特約付きの住宅ローンです。
災害により建物に被害が出た場合、建物自体は保険に入っていたとしても、生活を立て直すには、しばらくの間、金銭面での負担も大きくなるため、その負担を軽くしようという趣旨の保障です。

「残高保障型」
地震・噴火・津波により建物が全壊した場合に、住宅ローンの残高の50%が免除される特約付きの住宅ローンです。
建物が全壊となると、建て替えを検討しなければならなくなりますが、前述のとおり、元々借りていた住宅ローンの返済義務は続きます。
そうすると、新たに建てる建物も新規にローンを利用する場合、二重ローン状態となり、支払いの負担が重くなるため、それを軽くしようという趣旨の保障です。

この残高保障型の特約を付けておけば、地震被害時の保険金額が直接的に増えるわけではありませんが、既存の住宅ローンの返済負担を減らす形で間接的な対策となり得ます。

なお、金融機関によって、上記のどちらのタイプも取り扱っているケース、片方だけ取り扱いのケース、どちらのタイプも取り扱っていないケースがあります。
また、上乗せとなる金利や対象の災害の範囲、支払いが免除される回数などの詳細は異なります。


一番大切な対策とは?!


いかがでしたでしょうか。
今回は、地震保険の注意すべきポイントとその対策について解説いたしました。
地震保険に加入する際の参考になればと思います。

ちなみに、少し本末転倒な話にはなるため、あえて対策の欄には記載していませんが、これから不動産を購入するのであれば、何よりも一番の対策は、そもそも地震等により大きな被害を受けにくそうな立地や構造の建物を購入するということです。


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