意外と制約の多いマンションのバルコニー
本日は、マンションのバルコニーについて、少し掘り下げてみたいと思います。
早速ですが、マンションのバルコニーには、専用使用権という権利が設定されているのですが、どんな権利かご存じですか?
専用使用権とは?
まず、マンションのあらゆる箇所は、大きく共用部分と専有部分に分かれます。
共用部分は、マンションの区分所有者全員で権利を共有している部分です。
マンションの外壁やエントランス、エレベータなどです。
専有部分は、特定の人のみで権利を単有している部分です。
お部屋の内部をイメージするとわかりやすいでしょう。
専用使用権は、共用部分内に設定される権利です。
共用部分だけども、特定の人のみ使用できて、他の人は使用できませんよ、という部分に設定されます。
お部屋に付設されているバルコニーは、まさにそのお部屋の方しか利用しないので、専用使用権があるというのはイメージしやすいと思います。
バルコニーはなぜ共用部分なの?
バルコニーは、なぜ共用部分なのか、なぜ専用部分ではないのかと、疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
マンションのバルコニーは、一般的に、洗濯物を干す場所、といったイメージが最も強いと思いますが、それ以外にとても大事な役割があります。
その役割とは、火災等の非常時に、マンションの住民が共用廊下側から避難できない場合など、いざという時のための避難経路です。
バルコニーには、避難はしごが付いている場合があります。
これらの設備点検や、必要な通路の確保など、避難経路としての適切な管理運用をおこなうためにも、個々の裁量で維持管理される専有部分ではなく、マンション全体で維持管理される共用部分になっているのです。
ちなみに、バルコニーは共用部分にしなければならないことが、「建物の区分所有等に関する法律」によって決まっています。共用部分の中でも、法定共用部分と言われる部分になります。
バルコニーを利用する上での禁止事項例
バルコニーは、利用する上での注意点(禁止事項)が意外とたくさんあります。
これまでご説明したように、バルコニーはあくまで共用部分のため、様々な制約があります。
具体的には、管理規約や使用細則に、禁止事項が定められており、マンションによって内容に差があります。
代表的な禁止事項とその理由を挙げてみましょう。
禁止:隔板の前や避難はしごの上に物を置いてはならない。
理由:避難経路を安全に確保するためですね。
禁止:物置を設置してはならない。
理由:これも安全な避難経路確保の意味合いが強いですね。
禁止:喫煙してはならない、BBQなど料理をしてはならない。
理由:隣接住戸等への臭いの配慮により禁止されているケースが多いです。
禁止:布団を手すりに干してはならない。
理由:景観の問題や、落下に対する安全性の問題で禁止されることが多いです。
禁止:洗濯物を干してはならない。
理由:バルコニーといえば洗濯物を干すイメージがある方も多いと思うので、驚かれるかもしれませんが、タワーマンションなどでは禁止のケースがあります。
また、干しても良いけれど、バルコニーの手すりより高い位置に干してはならない、というケースもあります。
禁止:子供用のプールを利用してはならない。
理由:バルコニーの排水は、大量の水の利用を想定されておらず、そもそもバルコニーは防水が不十分の場合があり、下階への漏水の原因になります。
禁止:花壇を作ってはならない。
理由:大量の土は、意図せずに排水口を詰まらせてしまう恐れがあります。
避難経路を阻害しかねないことも理由になるかと思います。
家庭菜園などをおこないたい場合は、プランターや鉢植えであれば認められているケースが多いです。
禁止:ウッドデッキを設置してはならない。
理由:バルコニーは、建築基準法という法律で、手すりの高さを1m10cm以上にしなければなりません。
ところがウッドデッキを引くことで、床面が上がり、法定の手すりの高さを確保できなくなるケースがあるため、禁止されていることがあります。
禁止:ペットを飼育してはならない。
理由:鳴き声、臭い、抜け毛のトラブルや、脱走の危険性など、リスクが多いため禁止されています。
以上、いかがでしょうか。
このように、専用使用ができるといっても共用部分であるバルコニーには、様々な利用の制限がありますので、これらに気を付けて生活する必要があります。
※ここであげた例は、全てのマンションで一律に禁止されているわけではありません。
マンションによっては、許可されている行為、特に禁止されていない行為もあります。
また、ここに記載されていない行為が禁止されている場合もあります。
まとめ
マンションのバルコニーは、一戸建のバルコニーやベランダと違って、何でも自由にできる場所ではありません。
それでも、楽しみ方はたくさんあります。
高層階の見晴らしが良い物件のバルコニーであれば、一戸建では得られない眺望を楽しめます。
最近の物件は広めのバルコニーが設置されていることも多いので、ちょっとしたテーブルセットを置いて、コーヒーを飲みながらのんびり読書、なんて楽しみ方も良いでしょう。
皆さんそれぞれの素敵な利用方法を考えてみてくださいね。
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