アリバイ会社って何?
2025年1月、通称アリバイ会社と呼ばれる組織の内の一つ、スマートハウスという会社の代表者らが逮捕されました。
各種ニュースメディアで報道されています。
各記事にても、アリバイ会社とは何なのか、簡単に説明されていますが、皆さん、アリバイ会社をご存じでしたでしょうか。
普段、普通に生活をしているだけでは、関わることがないと思われるので、「アリバイ会社って何?」と疑問に感じられた方が多いのではないでしょうか。
アリバイ会社は、不動産業界と密接な関係にある組織です。
私は、不動産業界に身を置いているため、アリバイ会社についてもその存在を知っています。
しかし、もし仮に知らなかったとしたら、なかなか想像がつかないと思います。
刑事ドラマなどをよく観る方であれば共感してもらえるかもしれませんが、アリバイ会社にサービスを依頼すると、何か犯罪を犯してしまった際に、●月●日●時●分にどこで何をしていたのか証言してくれる人を用意してくれるのかな?なんて考えたかもしれません。
(完全に裏社会の組織ですね。笑)
アリバイ会社とは?
では、アリバイ会社とは何なのでしょうか。
アリバイ会社とは、事件の犯罪者ではないことを証明するアリバイを作ってくれる会社ではありません。
では、どのような会社なのか簡潔にまとめると、「主に賃貸住宅が借りられない人や借りにくい人向けに、とある会社で働いているように見せかけ、賃貸住宅を借りやすくする会社」です。
賃貸住宅が借りられない人や借りにくい人というのは、例えば下記のような状況の人が該当します。
①無職の人
②特定の職についていない人
③水商売で働いている人
④未成年者
⑤高齢者
⑥過去に家賃を滞納した経験のある人
その中でも、このアリバイ会社が主にターゲットとしている層は、①~③あたりが多いようです。
では、「とある会社で働いているように見せかける」とはどういうことでしょうか。
賃貸住宅を借りる際には、入居審査があります。
物件を借りたい希望者が家賃を支払っていけるのかどうかを管理会社や大家さん、家賃保証会社が確認し、貸すかどうかを判断するのですね。
そのために、入居申込時には、勤務先やそこでの収入について申告を求められます。
場合によっては、それを証明する書類等の提出を求められることがあります。
例えば、その会社で働いていることを証明する従業員証明書や健康保険証を用意したり、源泉徴収票、給与明細といった収入証明書類を用意したりする必要があります。
無職であれば、もちろんこういった書類の用意はできませんし、特定の職についていない人は、実際の収入証明書類を提出すると収入の不安定さが理由で審査落ちになるかもしれません。
水商売で働いていると申告すると、原理原則、職業差別はいけないのですが、水商売を理由に審査落ちとなることもあります。
これらのケースで、入居審査を通りやすくするために、一般企業で働いているという架空の従業者証明書や健康保険証、収入証明などを作成するサービスを提供しているのが、アリバイ会社となります。
そのサービスの内容から、不動産業界内では在籍会社と呼ばれることもあります。
ちなみ一般企業については、過去には完全な架空会社や営業実態のない名前だけの会社が使われることがあったようですが、現在では、普通に営業している会社が使われることが多いようです。
入居審査の際には、申告された内容や提出書類が正しいものなのか確認するために、管理会社等から勤務先とされているところに確認の電話(在籍確認)がなされることがあります。
この確認の電話に対応することも、アリバイ会社のサービスの一つです。
アリバイ会社は違法ではないの?
ここまで読んで、「え?これって犯罪ではないの?」と感じられた方、その感覚は間違っていないと思われます。
現に、今回、その運営会社が摘発され、運営者らが逮捕されたわけですからね。
今回の事件では、運営者らは、詐欺行為として逮捕されています。
嘘の情報を利用して賃貸物件の契約を結ばせようとした行為が法に抵触すると判断されたようです。
アリバイ会社を利用して実際に嘘の情報を使い賃貸借契約を結んだ本人、それを仲介した不動産会社経営者、そしてアリバイ会社の運営者と、取引に関わった関係者が全て詐欺行為で摘発されました。
つまり、アリバイ会社を利用する人、それを知っていて物件の賃貸借契約を結ぶ仲介人、アリバイ会社自体、全て違法行為になる可能性が高いということです。
賃貸住宅を借りるときに、アリバイ会社を使うのはリスクが非常に大きいですね。
もし、アリバイ会社の利用を不動産会社から勧められることがあっても必ず断り、そのような提案をしてくる会社とは関わらないことをお勧めします。