建築物の屋根の種類の一つ、「ストレート葺」をご存じでしょうか?
不動産業界で使われる言葉には、意外と多くの人が間違えて覚えている言葉がいくつかあります。
その代表例のひとつが「スレート葺(ふき)」。
正確には建築用語に当たると思いますが、これは屋根材として一般的な「薄く平たい板状の建材『スレート』」を使って屋根を仕上げる工法です。
それで、この「スレート葺」。
不動産業界人でもしばしば「ストレート葺」と誤認されて語られます。
ストレート?それ、野球でピッチャーが投げる球の種類です
「ストレート葺」と聞いても、正直それっぽい感じはします。
発音は滑らかですし、実際の現物がまっすぐな見た目の屋根のため、イメージにも合っています。
それでもそれは完全なる空耳建築用語です。
「ストレート」と言えば、野球の世界で使われる直球の球種名でもありますね。
真っすぐで力強い球で、投手の魂がこもった一球。
カーブやスライダー、フォーク、シュートなど数多くの球種がありますが、やはり「ストレート」は球種の基本と言える存在です。
だったら「カーブ葺」もあって良いのでは?
もし「ストレート葺」が実在するなら、いっそのこと「カーブ葺」という屋根工法があっても良さそうに思えてきます。
たとえば、丸屋根やR形状の屋根仕上げ──建築的には実在するものですが、「カーブ葺」と名づけたら語感としては妙にしっくり来るかもしれません。
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ストレート葺 → 真っすぐな屋根
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カーブ葺 → 曲線で丸みのある屋根
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スライダー葺 → 斜めの屋根?屋根がスライド移動してオープンになる屋根?
フォーク葺 → 上下に落差の大きい屋根?
ナックル葺 → ぐちゃぐちゃな屋根?
……こうなると、屋根業界がまるでピッチャーのブルペンのように思えてくるから不思議です。笑
まじめな話、正しくは「スレート葺」
冗談はさておき、正式な用語はやはり「スレート葺」です。
「スレート」は天然石を薄く割った天然スレートと、セメントを主成分とした化粧スレート(=カラーベストなど)に分類され、いずれも耐久性とコストバランスに優れた屋根材として広く用いられています。
正確な知識は、不動産のプロとしてお客様に対し信頼を築くうえでも不可欠。
不動産業界では、住宅をお客様に買っていただく際に、重要事項説明という一大イベントがあります。
書類には「スレート葺」と記載されているのに、間違えて「ストレート葺」と読み上げてしまったら、、、
全く迷いなく自信に満ち溢れた勢いで読み上げれば、あえて突っ込まずに見逃してくれるお客様の方が多いと思いますが、内心ではちょびっと評価が下がってしまうかも。。
野球でいえば「ストライクゾーン」をしっかり押さえた言葉遣いが求められます。
まとめ
「スレート葺」は「ストレート葺」ではありません。
まあ間違えやすいのも無理はないです。
パッとみ、これまでの人生で生きてきて、「スレート」よりも「ストレート」の方が身近であった人の方が圧倒的に多いでしょう。
間違えて覚えている人に聞いてみると、一度「ストレート葺」と覚えてしまうと、書類にいくら「スレート葺」と書いてあっても思い込みの方が強く「ストレート葺」としか読めなくなるそうです。
でもこのブログを読んだあなたはもう大丈夫ですね。
今日からもう間違えないようにしましょう!