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共有名義の不動産売却|確定申告の落とし穴

税金

寺田 裕太郎

筆者 寺田 裕太郎

不動産キャリア14年

共有名義の不動産売却|確定申告の落とし穴


確定申告の時期が近づいて参りました。
共有名義の不動産売却をおこなった方は、確定申告の際に注意しなければならないポイントがあります。
そのポイントとは、経費の申告の仕方についてです。

経費の申告のどの部分に注意が必要なのでしょうか。
今回は、その注意点を解説します。


経費は誰が負担するの?


共有名義の不動産売却の場合、経費は誰が負担するのでしょうか。
例として、名義人は2人(AさんとBさんとします)、持分は2分の1ずつ、経費となる仲介手数料が500万円かかったケースを想定してみます。

まず、実際の取引において、明確に誰が支払うのかが、はっきりしているケースとしていないケースがあります。
・Aさんが500万円全額負担する
・Bさんが500万円全額負担する
・Aさんが100万円、Bさんが400万円負担する
・Aさん、Bさんともに250万円ずつ負担する
このように、明確になっているケースもあれば、2人で500万円の負担とだけ決まっていて、内訳が明確になされていないケースがあります。
内訳が明確でなければ、持分に応じての負担が最もしっくりくると思いますが、必ずしもそうであるとは限りません。

実際の不動産売却の現場では、経費が売買代金から差し引きで支払われることも多く、誰がいくら支払ったのかがはっきりとせず、曖昧のまま取引が進むことも珍しくありません。


経費の領収書はどのように発行されるの?


さて、では経費の領収書はどのような形で発行されるものなのでしょうか。

共有名義の一人ずつに対し、「〇〇円領収しました」という領収書が発行されていれば、誰がいくら支払っているのかがはっきりします。
しかし、一般的に共有名義の不動産売却の場合、一枚の領収書に、宛名は名義人全員の連名で、金額は全体の金額が表記されて発行されることが多いです。

このような領収書の場合、その領収書を見ただけでは、誰がいくら負担したのかが明確になっていません。


不動産売却にかかった経費はどのように申告するの?


不動産売却による確定申告の際には、売却にかかった経費は売却金額から差し引いて譲渡益の計算をすることができます。
共有名義の不動産売却の場合、かかった経費は、誰がいくら負担したものとして、申告をするのでしょうか。
ここまで、経費は誰が負担するのか、領収書はどのように発行されるのかについて説明しましたが、いずれかのタイミングで、誰がいくら支払っているのかが明確になっていれば、迷うことはありません。
自らが負担した金額分をかかった経費として申告すれば良いのです。
では、明確になっていない場合はどうすれば良いのでしょうか。

実は、明確な税務上のルールがあるわけではありません。
例えば、先に例を挙げたケースでは、持分にかかわらず、名義人の一人のAさんが仲介手数料500万円を丸々全額負担したという申告もできるということになります。

そこで、確定申告をする前に、前もって名義人同士で話し合い、経費を誰がいくら分支払ったものとして申告するのかを決めておく必要があります。
この確認をしておかないと、どのようなことが起こりうるのでしょうか。


経費の申告内容を打合せしておかないと起こりうるリスク


確定申告は個人個人で別々におこなうため、AさんとBさんが特に事前に打合せをおこなわずに、それぞれが確定申告をした場合、下記のような申告内容となる可能性があります。
・Aさんは経費として500万円を申告
・Bさんは経費として250万円を申告

さて、この場合、税務署はどう処理するのでしょうか。
実際にかかっている経費は500万円ですが、2人併せて750万円経費申告されていることになりますので、このままでは済まないのではないかとの予測はできると思います。

売却した不動産の持分は、2分の1ずつであることを税務署は把握していますので、AさんとBさんそれぞれの経費は250万円ずつだけ認められて、Aさんは修正申告が必要になるのではないか?と感じる方もいるかもしれません。

このケースでは、AさんとBさんの申告のタイミングによって、結果が変わる可能性があります。
私は、金額と経費の項目は異なりますが、実際に上記のような申告がされたケースとよく似た事例に出会ったことがあります。
そのケースでは、Aさんの申告が先におこなわれ、その後にBさんの申告がおこなわれました。

すると、税務署は、まずAさんの申告を申告通りに認め、続いて、Bさんの申告は、Aさんがすでに500万円全額を経費計上していることを確認した上で、Bさんは500万円の内、1円も経費計上はできないと判断し、Bさんに、申告内容を修正するように指導しました。

売却不動産の持分が2分の1ずつであれば、客観的にみると、Bさんの申告が正しく筋が通っているようにみえますが、税務署の判断は、そうならない可能性があるということですね。

そして、実際にあった上記のようなケースでは、Bさんはただ修正申告をするだけではなく、実際に支払うべきであった税金が支払われていなかったとして、延滞税まで請求されてしまったのです。


トラブルを未然に防ぐためにできる対策


このような確定申告のトラブルを未然に防ぐためには、下記のような対策が考えられます。

①実際に経費を支払う際に、誰かいくら支払うこととするのかを明確に決めておき、経費の支払先に対し、名義人ごとに領収書を発行してもらうように依頼する
名義人ごとの領収書発行が難しい場合は、確定申告前に再度認識を共有しておく

②経費の支払い時に明確でなかった場合は、確定申告の前に話し合い、誰がいくら経費を支払ったこととするのかを明確に決め、認識を共有しておく

③名義人全員が同じ税理士に確定申告手続きを依頼する


まとめ


いかがでしたでしょうか。
今回は、共有名義の不動産売却について、売却後の確定申告時に注意すべき点について解説いたしました。
前述のとおり、確定申告の前の段階で、リスクを減らす対策が必要ですので、注意するようにしましょう。
これから正に確定申告をされる予定の方は、すぐに共有名義の方と話し合うようにしてください。

これから不動産売却をおこなおうと考えている方は、弊社では、こういった注意点も踏まえながら、不動産売却のお手伝いをさせていただきますので、よろしければお気軽にご相談くださいませ。

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