マンション売却時の税金|私はかかる?かからない?解説します!
2023年現在、東京を始めとすると大都市圏に立地する分譲マンションの価格が上昇しています。
上昇の幅や勢いについては、エリアによって差があるものの、この数十年の間にマンションを購入されている方は、その多くが購入時よりも高くマンションが売れるかもしれない状況だと思われます。
つきましては、現在マンション売却を検討されている方にとって最大の関心事は、売却後にその利益に対して税金がかかるのかどうかについてではないでしょうか。
先に結論を言ってしまうと、実はマンション売却で利益が出ても、税金がかからない方が多くいらっしゃいます。
かかる方でも、税金の額が思ったほどかからない方が多くいらっしゃいます。
多くの方が疑問に感じていらっしゃるマンション売却の際の税金について、今回はご説明いたします。
最後に、税額シミュレーション例のご紹介と、確定申告をする必要がある人の条件も解説いたします。
なお、実際にお客様がマンションを売却した場合に税金を支払わなければならないのかどうか、支払うとするといくらくらいになるのか知りたい方は、下記よりお問い合わせくださいませ。
必要に応じて提携税理士事務所の協力を得ながら、マンション売却活動開始前の段階で税金がかかりそうなのか、かからなさそうなのか、無料でご確認いただけます。
弊社は、その他にも仲介手数料定額サービスなど、お客様にメリットの大きいマンション売却サービスを提供しておりますので、中央区を始め、東京23区内などのマンション売却については、ぜひサウザンドハンズにご相談くださいませ。
マンション売却で利益が出ると発生する税金
この譲渡所得がプラスの値となるときに、税金が発生します。
税金の種類は「所得税・復興特別所得税・住民税」の3種類があります。
※復興特別所得税は、令和19年(2037年)までの期間限定で課税される税金です。
譲渡所得の計算方法
マンション売却の際の譲渡所得は、下記の計算式で導き出すことができます。
「譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」
上記の計算式で算出して、譲渡所得がプラスになったときのみ課税されます。
■収入金額
マンションが実際に売れたときの売買価格です。
■取得費
取得費は大きく、購入価格と購入時にかかった費用に分けれれます。
まず購入価格は、マンションを購入したときの価格です。
個人の方のマイホーム売却の際は、消費税込の価格で計算します。事業用で利用していたマンション売却の際は、事業所得の経理処理の仕方によって消費税抜の価格で計算する場合があります。
なお、税金計算の際は、購入時の価格そのままで計算をするのではなく、建物分については、減価償却計算をする必要があります。
購入時にかかった費用は、マンションの場合、主に下記の費用が、税金計算上の購入にかかった費用として計上できます。
・仲介手数料
・契約書貼付印紙代
・登記費用
・不動産取得税
・購入前後で実施したリフォームやオプション工事費用
そのほか、詳細は下記の国税庁HPのページをご参照ください。
No.3252 取得費となるもの|国税庁 (nta.go.jp)
この購入にかかった費用についても、建物に関する分は、減価償却処理をおこなう必要があります。仲介手数料や印紙代などは土地も含めての費用のため、建物と土地との割合により、按分してから減価償却する必要があります。
自宅など事業用でない建物の減価償却の計算式は、下記のとおりです。
「減価償却費相当額=建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数」
建物の取得価額は、購入時の売買契約書に記載の建物価格を確認します。建物と土地の価格の内訳が記載されていない場合は、消費税額から建物価格を計算します。
0.9をかけるのは、減価償却後の残存価値を10%分としているためです。
償却率は、例えば、鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で「0.015」となります。
建物の構造によって、税金計算上の減価償却期間が変わるため、償却率も変わる仕組みですが、マンションなら建物構造は、ほぼ鉄筋コンクリート造か鉄骨鉄筋コンクリート造に該当します。
経過年数は、取得してから売却が完了するまでの所有期間です。6か月以上の端数は切り上げて1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます。
事業用に使用していたマンションの場合は、売却までに実際に毎年減価償却していた金額がそのまま減価償却分となります。
下記の国税庁HPのページもご参照ください。
No.3261 建物の取得費の計算|国税庁 (nta.go.jp)
■譲渡費用
マンション売却にかかった費用です。
マンション売却の場合、主に下記の費用が該当します。
・仲介手数料
・契約書貼付印紙代
下記の国税庁HPのページもご参照ください。
No.3255 譲渡費用となるもの|国税庁 (nta.go.jp)
■特別控除
特別控除は、マンション売却の場合、自宅の売却に該当するケースで利用可能です。
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」という制度で、なんと収入金額から最大3,000万円の金額を控除して譲渡所得を計算すれば良いこととなっています。
ただし下記の国税庁HPに記載の適用条件を満たす必要があります。
No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁 (nta.go.jp)
3,000万円特別控除を適用できる条件を満たしている場合でも、あえて使わないという選択をするケースもあります。
それはお買い換えの場合で、次の新居購入時に住宅ローン控除を受けたいときには、3,000万円特別控除が使えません。
どちらか一方しか利用できませんので、状況に応じてどちらを選択するのかどうか判断する必要があります。
この特別控除は、実際にかかる費用ではなく、あくまで税金計算上の控除であるため、実際は利益がプラスの場合でも、税金は支払わなくても良いということになります。
多くの方は、この制度を利用し、マンション売却時の税金がかからない、または税額が少なくなるという結果となっているのです。
この特例は、一つの物件に対して適用されるかどうかではなく、一人の収入金額に対して適用されるかどうか判断されます。
つまり、夫婦の共有名義で所有していたマンション売却の際は、夫と妻それぞれ最大3,000万円、合計6,000万円まで控除枠があるということです。
なお上記のような共有名義のマンション売却の際は、この譲渡所得の計算を名義人ごとにおこなう必要があります。
収入金額、取得費、譲渡費用は、持分に応じて金額を按分してから計算し、最後に控除額を引く形となります。
それと、マンションを含めて不動産の譲渡所得の計算は、分離課税制度が採用されていますので、給与収入や株取引による所得などとは切り離して税金計算をおこないます。
譲渡所得にかかる税額の計算方法
譲渡所得がいくらかわかれば、3種類の税金の税率が決まっていますので、実際の税額を計算することができます。
「税額=譲渡所得×税率」
税率は、売却不動産の所有期間と、自宅であったかどうかによって変わります。
≪条件毎による合計税率とその内訳≫
所有期間5年以内:39.63%(所得税30%、復興所得税0.63%、住民税9%)
所有期間5年超:20.315%(所得税15%、復興所得税0.315%、住民税5%)
所有期間10年超かつ自宅(譲渡所得6,000万円以下の部分):14.21%(所得税10%、復興所得税0.21%、住民税4%)
※所有期間10年超かつ自宅の場合の税率14.21%は、譲渡所得6,000万円以下の部分に適用され、6,000万円超の部分には、税率20.315%が適用されます。
税額シミュレーション
具体的なケースでマンション売却時の税額について、シミュレーションしてみましょう。
≪条件≫
2012年2月に自宅として4,500万円のマンションを購入(建物税込3,000万円、土地1,500万円)
購入時の諸費用(仲介手数料+印紙代+登記費用)は180万円、不動産取得税は0円
名義は一人
2023年12月に8,000万円で売却(決済)
所有期間は12年 ※6か月以上の端数は切り上げ
売却時の諸費用(仲介手数料+印紙代)は58万円
①まず、取得費を計算します。
・購入時の諸費用のうち、建物相当分を按分計算します。
180万円(購入時の諸費用)÷4,500万円(購入価格全体)×3,000万円(購入価格のうち建物分)=120万円(購入時の諸費用のうち建物相当分)
・建物分を減価償却します。
3,000万円(購入価格のうち建物分)+120万円(購入時の諸費用のうち建物相当分)=3,120万円(減価償却対象額)
3,120万円(減価償却対象額)×0.9×0.015(償却率)×12(経過年数)=505.44万円(建物減価償却分)
・取得費を計算します。
4,500万円(購入価格全体)+180万円(購入時の諸費用)-505.44万円(建物減価償却分)=4,174.56万円(取得費)
②次に、譲渡所得を計算します。
8,000万円(収入金額)-(4,174.56万円(取得費)+58万円(譲渡費用))=3,767.44万円(特別控除前譲渡所得)
≪3,000万円特別控除を利用する場合≫
3,767.44万円(特別控除前譲渡所得)ー3,000万円(特別控除額)=767.44万円(譲渡所得)
③最後に、税額を計算します。
・3,000万円特別控除を利用しない場合
3767.44万円×14.21%=約536万円(税額合計) ※小数点以下切り上げ
・3,000万円特別控除を利用する場合
767.44万円×14.21%=約110万円(税額合計) ※小数点以下切り上げ
マンション売却で確定申告が必要な人とは?
マンション売却をおこなった方で、その後に確定申告が必要な人について解説します。
実は原則として、マンション売却をおこなった方は、全員が確定申告をする必要があります。
特に、これまでに説明した税金の計算上、税金の支払いが発生する人はもちろん、3,000万円特別控除を利用すれば税金がゼロになる人は、必ず確定申告をしなければなりません。
マンション売却時の税金は、税務署などが税額を計算して、”いくら支払ってください”と連絡が来るものではなく、あくまでも売却されたご自身が税額を計算・申告して、自主的に納めるものだからです。
なお、事前に税額シミュレーションをした結果、3,000万円特別控除を使わずに税金がゼロになるケース(譲渡損失が出ているケース)であった場合に限り、確定申告をしなくても大丈夫です。
その場合でも、後日、税務署から「手紙」が届くことがあります。
マンション売却の結果、税金を納める必要がないかどうかの確認で送られてきますので、譲渡損失が出ているため申告していない旨を税務署に伝える必要があります。
ちなみに、マンション売却の結果、譲渡損失が出ている場合は、その他の所得(給与所得など)と損益通算できるケースがありますので、その恩恵を受けるためにも、結局は確定申告をおこなった方が良いことも多いです。
適用条件などは、国税庁HPをご参照ください。
No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合|国税庁 (nta.go.jp)
No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁 (nta.go.jp)
No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁 (nta.go.jp)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
やや複雑な部分もありますが、大まかな計算の仕方を把握できれば、概算で税金の計算ができるようになります。
売却前の段階では、概算で把握できれば十分だと思います。
実際にマンションの売却をおこなった後には、確定申告をすることになりますが、国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」で申告書作成や申請をする場合は、自分自身で計算しなくても、必要項目を入力するだけで、税額が算出されるようになっています。
税理士事務所に確定申告書作成や申請を依頼することもできますが、マンションの売却だけであれば比較的簡単な申告ですので、ご自身での申告にチャレンジしてみると良いと思います。
サウザンドハンズは、東京都中央区を始め、東京23区のマンション売却に強い不動産会社です。
マンション売却時の税金については、誰しもが気になされるポイントですので、提携税理士事務所と協力し、売却相談の段階からしっかりとしたサポート体制を敷いております。
税金に関する不安をクリアにしてから売却活動に入れますし、売却後の確定申告についても、ご要望がございましたら、マンション売却時の確定申告に精通している税理士事務所をご紹介可能です。