不動産購入時の水害ハザードマップとの正しい向き合い方

不動産売買の悩み

寺田 裕太郎

筆者 寺田 裕太郎

不動産キャリア14年


こんにちは。
不動産購入時に、希望する条件によっては、水害が発生するリスクのあるエリアの物件を検討することがあります。
水害とは、洪水、内水、高潮、津波などがありますが、今回は、津波を除いた水害について注目してみます。

東京23区内であれば、中央区、江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区といった城東エリアや、足立区、荒川区、北区といった城北エリアは、広範囲が水害リスクが多少なりともあるエリアです。
また、その他の西や南のエリアでも、多摩川、神田川、石神井川、妙正寺川、善福寺川、目黒川、呑川などの河川周辺区域など、周囲よりも低位になるエリアは、水害リスクがあるとされています。

では、検討しようとしているエリアや物件が水害リスクのある地域であった場合、どのようにそれと向き合えば良いのでしょうか。


水害リスクの確認方法


まず水害リスクがあるかどうかは、国や地方自治体が作成している水害ハザードマップを調べることで確認できます。
現在は、国土交通省が作成したインターネットサイトで、日本全国を網羅する「ハザードマップポータルサイト」があり、手軽に各地域のハザード情報を確認することができます。


ハザードマップポータルサイトの画面



また、各自治体でも水害ハザードマップを作成していることが多く、その詳細は、各自治体の公式HP上で公開されるケースが増えてきました。
上記の「ハザードマップポータルサイト」内には、各地域の自治体が公開しているハザードマップへアクセスできる機能(わがまちハザードマップ)が備わっています。
公式HPで公開が無い場合は、役所で配布していたり、販売していることがあります。

各自治体で作成されているハザードマップの方が、より細かく条件別にハザードマップが作成されている場合がありますので、不動産購入の参考にする場合は、そちらを確認することをお勧めいたします。

例えば東京都中央区の場合、洪水ハザードマップとして2種類が作成・公開されており、それとは別に、東京都で作成している高潮ハザードマップも存在することがアナウンスされています。



各自治体の公式HPでは、過去に発生した水害記録を公開している自治体もあります。
公式HP上では公開せず、役所の窓口に出向けば、水害記録を確認させてもらえる自治体もあります。

東京都中央区の場合、平成12年7月4日以降の区内浸水履歴が公開されています。


購入検討候補の物件が出てきた時点で、ハザードマップは必ず確認し、可能なら水害記録も調査して、その物件の水害リスクを確認しましょう。


水害ハザードマップでわかること、わからないこと


水害ハザードマップを確認することでわかるポイントは、水害が発生する可能性のある地域がどこなのか、そしてその地域にて水害が発生した場合、どの程度の高さまで水位が上がる可能性があるのかどうかです。
マップによっては、一度浸水が発生した場合、どのくらいの期間浸水状態が続く可能性があるのかどうかを示しているものもあります。
残念ながら、水害ハザードマップを調べても、浸水が発生する可能性がどの程度高いか低いかのような、確率については知ることができません。

現在作成されている水害ハザードマップは、それぞれの河川の流域ごとに想定し得る最大規模の降雨(1,000年に一回程度)が発生した場合や、過去の最大規模の台風(室戸台風級:910hpa)が発生した場合の条件で作成されています。
そのため、それ以下の規模の降雨量や台風によって、浸水リスクがあるのかどうかなど、水害被害が発生し得るより細かい条件まではわかりません。


水害リスクとの向き合い方


水害リスクのある地域にて物件を検討する上で、選択肢と成り得るのは、大きく2パターンです。

①水害リスクがある地域・物件は絶対に避ける

広域で購入物件を探していて、水害リスクは特に念頭に置いていなかった場合に、具体的に目に留まった物件が水害リスクのある物件であったケースです。
その時点で水害リスクについて考えることになると思いますが、水害リスクは絶対に避けたいという考えに行き着くのであれば、その他の条件がどんなにマッチしていたとしても、その物件は避けるという選択にならざるを得ないでしょう。
不動産購入の際は、絶対条件をいくつか決めておいた方が、スムーズに購入物件を決定できます。
水害リスクのある物件を検討対象に含めるかどうかは、エリアの絞り込みにもなりますので、早めに決めておくと良いと思います。

なお、マンションの場合は、建物の敷地に水害リスクがあるものの、専有部分(実際に居住する区画)は、水害リスクが無い(低い)というケースがあります。
「専有部分に水害リスクが無ければその物件を検討する」という考え方は、実際に多くの方が選択されている物件の選び方の一つです。
水害リスクのある地域を端から完全にNGとはせず、上記の考え方を採用する余地がないかどうかを検討してみると良いでしょう。

②水害リスクを許容し、物件を購入する

様々な理由で、水害リスクを許容し、物件を購入する選択となる場合があります。

・昔から住んでいる住み慣れた街である
・勤務先までの距離が重要
・物件購入予算の問題
・リバービューの物件に住みたい
・低層階が好み

例えば上記のような理由が考えられるでしょう。

許容の仕方としては、マンションの場合、既に記載したように、「専有部分に水害リスクのない条件で物件を選ぶ」という考え方があります。
ハザードマップを確認すると、その地域が、最大でどのくらいの高さまで水位が上がる可能性があるのか示されていますので、その水位以上の高さにある階数の物件を選ぶということになります。

『その階が地上からどのくらいの高さにあるのか調べる方法』
一般的に、マンションの階高は、一階あたり3m程度が標準的ですので、2階は約3m、3階は約6m、4階は約9mといった数え方を基準にすることができます。
しかし、階によって階高が異なるマンションも珍しくないので、ギリギリで水害リスクがあるのか判断つかない場合は、より正確に高さを知りたいところでしょう。
簡単な方法としては、その物件のバルコニー等から、レーザーで距離を測れる機器を用いて、実際に測ってみることです。
不動産会社によっては、測定器を貸してくれることもあります。

レーザー距離計測機器


その他、そのマンションの竣工図書を確認する、という方法があります。
竣工図書は誰でも自由に閲覧できませんので、物件の売主様の協力を得て、事前に管理組合に申請してから閲覧することになります。

一戸建やマンションの低層階を検討しているとなると、許容の仕方としては、できる限りの対策を考えた上で、万一のときは浸水を受け入れる覚悟で購入するという選択となります。

ハード面の対策は、水害リスクがあるとしても、極力リスクの低い地域の物件を選ぶ、地上よりも幾分か嵩上げして建物が建てられているような物件を選ぶなどです。

ソフト面の対策は、止水版や土嚢といった建物内への浸水を防ぐ手立てを用意し、水災被害対応の火災保険に必ず加入するといったものになります。

水災被害に対応する火災保険にさえ入っていれば、万一の際も、金銭的な負担はだいぶカバーできるようになります。
建物の補償だけではなく、家財保険にも加入して、家財の補償を受けられるようにしておきましょう。


まとめ


水害リスクは、土砂災害や地震災害などと比べると、その被害が発生するまでの時間的猶予があるケースが多いです。
津波や洪水のリスクは低く、内水氾濫のリスクのみであったりすれば、生命を守れるかどうかという観点では、許容しやすいリスクとも考えられます。
後悔のない不動産購入をおこなうために、水害リスクをどう捉えるのか、一度しっかりと考えてみてくださいね。


不動産売買はサウザンドハンズにご相談ください


2020年8月より、水害リスクに関連して、その物件がハザードマップ上でリスクがあるのかどうかは、不動産購入契約前に実施される重要事項説明項目となっています。

しかし、中古物件や建売住宅の場合、売買契約をおこなう直前に実施されることの多い重要事項説明の段階で、初めてハザード情報に触れるというのは、水害リスクが無ければ良いですが、水害リスクがある場合は知るタイミングが遅すぎるでしょう。

サウザンドハンズでは、物件購入検討者に対して、基本的に物件のご紹介時やご案内時に、ハザード情報についてご案内いたします。
そのタイミングで、資金計画例もご案内しますが、水害リスクがある物件の場合、水災補償対応の保険加入を前提とした諸費用をご案内するようにしております。

水害リスクのある不動産売却においても、そのリスクをより正確に把握した上で、購入検討者が漠然と検討を避けるということがないよう注意して販売活動をおこないます。

不動産売却・購入をお考えの方は、ぜひ弊社にご相談くださいませ。

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